エッセイ

頭の打撲は命にかかわることもある

頭の打撲は油断ができません。角度やタイミングで死に至ることもあります。

 

友人が山道から崖下に落ちて死んでしまったことがありました。

難所でもなんでもない普通の山道を歩いているときのことでした。なにかに足を取られて転んだ勢いで2、3メートルの軽い転落をしたのですが、彼はトップクラスのクライマーだったし、倒れたまま起き上がらないのは照れ隠しか、ふざけて死んだフリでもしているのかと同行していた友人は思ったそうです。

でも、いつまでも起き上がらないので「なにやってんだよ」と声をかけて、起こそうとしたら死んでいたそうです。さっきまで一緒に歩いていたのに、なにをするとこんなことになるのか、さっぱりわからなかったそうです。

 

後頭部の中央には、打つと即死する場所があります。横にちょっとずれたところには数日後に死ぬ場所があります。4日目と一週間目が危ない日です。そこを打ってしまったら、なにをしても助からないと言われています。

 

交通事故で頭を強打して病院に運ばれた女の子がいました。

外傷はそれほどありませんでした。入院中はベッドの上でただ安静に過ごしていました。精密検査の結果も出て、なんの異常も認められないので退院することになりました。

退院するはずだった一週間目の朝、身支度を整えて最後に頭を洗ってもらうことになりました。楽しそうに頭を洗ってもらっていたのに、笑いながらそのまま死んでしまいました。

頭の打撲にはこういうことがあるのです。

 

だから、会員さんから操法の予約の電話を受けたとき、

「椅子に座ろうと思って腰を下ろしたら娘がふざけて椅子を引いたので、尾骨と後頭部を床に思い切り打ち付けてしまいました」などという報告を軽い調子で聞かされても、本人は痛がっているだけですが、体を観るまで本人がしていない心配まですることになります。そして観たあとも、大丈夫だという確信がもてないほど酷いときは、こっそり4日後に安否確認の電話を入れてしまったこともあります。もちろん本人に「死んでるかもしれなかったから」とは言ってません。